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紙の本は滅びない。アメリカでも。

アメリカの読書風景②

●ニューヨークの読書・書店風景

 大手出版社が集まるニューヨークでも、一時期に比べて地下鉄やバスの車内でキンドルやヌックといったEブック専用デバイスを持っている人が若干少なくなったように思う。(その分、スマートフォンやタブレットで、メールやSNSをチェックしながらの「ながら読書」が多くなっただけかもしれないが。)

 本屋にしても、中心地マンハッタンで、バーンズ&ノーブル(米国内で最大手の書店)のようなチェーン店や、細々とやっていた書店がなくなってしまったのはEブックのせいではなく、主に店賃高騰の影響によるケースが多い。なにしろ、マンハッタンのホテル代一泊平均値が5万円、ワンベッドルームのアパートの家賃が月40万円というエリアだ。薄利多売の本屋には厳しすぎる。

 その証拠にブルックリンやクイーンズなどの周辺地区では、新しく本屋をオープンさせる動きも見られ、クラウドファンディングや、日本の三省堂書店にも設置されているオンデマンド印刷機「エスプレッソマシーン」といった新しいモノを取り入れて軌道に乗せている書店も増えている。全国的にも全米書店協会(ABA)に登録している「インディペンデント」と呼ばれる街角の本屋さんは2009年からゆるやかではあるが増えている。

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大原 ケイ

おおはら けい

日本語の本も英語の本も同じぐらい読んできたバイリンガル。講談社アメリカ、ランダムハウス・アジアなど、日米双方の出版社に勤めた後、翻訳権のリテラリー・エージェントとして独立。現在はフィクション、ノンフィクションを問わず日本の著者の作品を英語圏の出版社に紹介するべく、東京とニューヨークを往復する日々。著作に『ルポ電子書籍大国アメリカ』(アスキー新書、2010)など。


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